フロイト「精神分析入門」読書会(第四講)
第四講 錯誤行為(結び)
・結論:錯誤行為に意味がある。
・われわれは一つ一つの錯誤行為のすべてに意味があると主張する必要はない。
・錯誤行為は二つの意図の衝突によって生じる心的行為
・「錯誤行為には意味がある」=「錯誤行為は心的行為である」
・心的行為=その背後のどこかでなにか一連の器質的作用が始まっているような、ほかの心的過程から導き出されるものである
○器官の形の解剖的所見に認められるような性質。
・意味とは、意義、意図、意向および心的諸連関の系列中における位置
・症状行為(偶発行為)
・動機づけがない、目立たない、重要でない行為。
・これらの行為と衝突し、それゆえに妨げられるもう一つの意図が存在しない。
・
第一の問:妨害者として現れる意向はどういう性質のものであるか
第一群:言い違いをする直前に、自分でもそれに感づく例
第二群:語り手は妨害する意向が自分の意向であることを認めるが、言い違いをする直前にその意向が自分の心の中で活動していたことは全く知らない
第三群:言い違いをした当人に向かって、その言い違いの意向を聞かせると、本人がその解釈を激しく拒否する
これら三つの群に共通していること:
・妨害する意向が押し戻されていること
つまり、押さえつけられた以降は、語り手の意志に反して言葉となって口をついて出る
(と観察された)
・群の違いは、押し戻されたタイミングの違いとして考えることができる
・何かを言おうとする意図が現存するのに、それを押さえつけるということが、言い違いを起こす不可欠の条件である
第二の問:妨げる意向と妨げられる意向にはどういう関係があるか
・前者:妨げる意向と妨げられる意向が内容上の関連を持っている場合
・妨げる意向が妨げられる意向の反対、修正、あるいは補充を意味する。
・後者:妨げる意向と妨げられる意向が内容上の関連がない場合
・妨害する意向は実はそれよりちょっと前に、その本人を捉えていた思考過程から出てくるもの
*意味上の関連ではなく、時間的な関連
精神分析の視点とは
・現象をただ記述したり分類したりしようとしているのではない
・現象を心の中のいろいろな勢力の角逐(争い)のしるしとして捉えること、すなわち時には協力し、ときには対抗しながら、ある目的をめざして働いているもろもろの意向の表れとみたい
=心的現象の力動的な把握
・知覚されたさまざまの現象は、ただ仮定されているにすぎないところの意向にくらべると、影が薄くならざるをえません