サークルクラッシュ同好会関東支部第5回例会の議事録
こんにちは。べとりんです。
最近はこのブログの更新も適当になってきて、読書会のレジュメが記事の多くを占めつつありますね。読書会のレジュメだけ別のページに移すべきじゃないかと考えていますが、結構面倒でどうしようか悩んでます。なんかレジュメを一般公開する楽な方法はないものでしょうか。
さて、7/3(日)にサークルクラッシュ同好会関東支部第5回例会を行いました。
集合:JR飯田橋駅西口12:50
活動場所:東京理科大学神楽坂キャンパス222教室
活動時間:13:00~19:00
内容:サークラ大喜利
いつもどおり、会長以外は遅刻しました。
今回の企画「サークラ大喜利」は、普通に大喜利をやりました。車座になり、じゃんけんで書記と出題者を決め、出題者がお題を出して、他の人が答え、出た内容を書記が黒板にメモして、最後に投票して一位を決めました。
以下は出たお題とその回答集。メンバーのほとんどを男が占め、完全に男子のノリで進んでいたので、相当にヒドイ回答が出まくっています。
お題「サークルクラッシュRPGに搭載された新しいシステムとは?」
佳作:151匹の自撮りを集める
1位:草むらを歩いていると、姫の彼氏に遭遇する
佳作:捕まえた女性キャラクターをBOXに預けておくと、BOXでクラッシュが発生し、BOXが空っぽになる
佳作:捕まえたキャラクターを育て屋に預けることができるが、一部の女性キャラクターは2人だけの関係に耐えられず、仲が安定しない
佳作:リア充が爆発する
佳作:図鑑を開くと、姫の「鳴き声」が聞ける
お題「テニサー出身のサークラ。特技は?」
1位:混んでる電車で男のヒザの上に座る。
佳作:普通のサークラよりもダブルスが上手い。
佳作:目に入らない相手の名前が覚えられないので、コールが「ネクラ―、ネクラー」。
お題「関東サークルクラッシュ同好会で2泊3日の旅行に行くことになりました。予定を一つ教えてください。」
1位:旅館の電気ケトルを持って帰る。
佳作:部屋に風俗嬢を呼びだして、説教をする。
佳作:女装したことのない人を女装させ、露天風呂に送り込む。
佳作:集合時間に集まっているのが0人。
お題「月刊ネクラ。内容は?」
佳作:使える相槌100選
佳作:脱ネクラ成功者インタビュー
佳作:観葉植物の選び方、育て方
佳作:ディズニーランドのしのぎ方
1位:「こんなところに手紙を送るやつはネクラではない」と叩かれて読者投稿コーナーが廃れる
お題「サークラ同好会のマスコット、サークライオンの特徴は?」
佳作:「楽しい仲間がポポポポーン」のCMの選抜から漏れた。
佳作:副業が劇団四季。
佳作:一度に二人の男の子供を孕む。
佳作:人間の言葉を理解できるが、代わりに表情を失った。
こうして書き出してみると、何があんなに面白かったのかわかりませんが、やってる最中はめっちゃ笑ってました。空気と言い方が大事なんだなと思います。
次回の定例会は8/7(日)の予定です。ディベートをやることになったのですが、もしかしたら内容は変わるかもしれません。京都旅行行きたい。
フロイト「精神分析入門」読書会(第8講ー第19講)
第八講 小児の夢
1、2、3、4段落:
・夢の歪曲作用という問題を精神分析の技法で克服するのを試みる前に、歪みのない夢というものがあるならば、それを取り上げるのが妥当かもしれない。
・小児の夢は、非常に歪みが少ない。この種の夢は、短く、明確で、首尾一貫し、わかりやすく、あいまいではなく、しかもまた疑う余地がない。
・夢の歪曲は5-8歳くらいからすでに始まるので、4-5歳までに年齢を限れば、幼児型とでも名付けられる夢をぞくぞくと見つけることができる。なお、成人の場合でもある条件の下では幼児型に似た夢が見られる。
・小児の夢は非常に容易に夢の本質を明らかにすることができる。そして、フロイトは、この解明がすべての夢に当てはまることを期待している。
・小児の夢を分析するには、特別の技法の適用や、小児を問いただすことは不要。しかし、小児の生活をすこしばかり参考にする必要がある。
*小児の夢が歪曲されている要素が少ないと言える理由は
第5段落以降:
・小児の夢は、筋の通った、心的行為と呼ばれて少しもおかしくないもの。
・小児の夢は夢の歪曲が(ほとんど)ない。そのため、夢の歪曲は夢の本質ではないことが分かる。
・眠りを妨げる刺激には、身体刺激のほかに心的な刺激がある。満たされなかった願望は、眠りを妨げる心的な刺激となりうる。
・夢は刺激から生じる。
・夢は願望の充足である。小児の夢は、残念な気持ち、憧れ、満たされなかった願望などをあとに残すような日中の体験に対する反応である。夢はこの願望を、直接にむきだしに充足する。夢は幻覚的な体験で、この願望を満たされたものとして表現する。なお、夢を引き起こすものはつねに願望でなければならず、憂慮や計画や非難ではありえない。
・小児の簡単な夢においても、願望を体験に置き換えるという歪曲がある。
・夢を錯誤行為との比較で説明する。夢においては、妨害される意向とは、眠ろうとする意向。妨害する意向とは、心的刺激、あるいはなにがなんでも充足を求める意向である。夢もまた妥協の産物であり、願望は満たされるが、眠りは続いている。
夢が願望の充足であるということを補強するいくつかの事実
・白昼夢も願望の充足という点を満たしている。また、夢に関するいくつかのことわざも同様。
*「動物が自分が殺されるという夢をみるということを・・・」の下り、人間にはのちに死の欲動を認めているが、動物にはこれはないのだろうか?
・食事などの欠乏条件におかれた人を観察すると、きまってその欲求を充足させる夢を見ることを教えられる。
・性的刺激を受けてみる夢の場合は特殊。夢精を伴う夢の中で現実に欲求の充足を得られることがある。
・「焦慮の夢」自分の期待がいち早く成就することをみる夢
・「不精な夢」もっと眠っていたいと思う人が、すでに起きて洗面をすませたり、あるいはもう学校に来ていたりすることを夢に見る。
最後の段落
・小児の夢以外の夢は、われわれの考えているように願望の充足であるかどうかは、さしあたっては断言できない。
第九講 夢の検閲
第一、二段落
・夢の定義:眠りを妨げる心的な刺激(願望)を、幻覚的な充足によって排除するもの
・夢のうち、解明できた夢は「幼児型」のみ。
・他の夢については、未知の内容が歪められた代理物であり、夢を理解するためにはこの未知の内容にまで引き戻してみなければならないことが分かった。この夢の歪曲を理解することが次の課題となる。
第三段落
夢の歪曲についての検討事項
1.夢の歪曲の発生理由
2.夢の歪曲が果たす役割
3.夢の歪曲がどのようになされるか、その内実
夢の歪曲が夢の作業によるものであるから、まず夢の作業についてについて述べ、夢の作業をその中に働いているもろもろの力に還元してみようと思う。
第六段落 「この夢の成り行きは・・・」
・ここで紹介されている夢は、三か所の内容の欠落が存在しており、それらは全てつぶやき声で中断されている。
・つぶやき声で中断される部分は、厭わしく破廉恥な性的空想であり、この厭わしい空想を告白しなければならなくなった時に、顕在夢の内容は抜け落ちてしまうか、押さえつけられてしまう。
第7、8、9、10、11段落 「これらの空想の・・・」
・夢の会話の中で犠牲になった部分は、夢の検閲の犠牲になった。
・検閲されて削除された部分こそが、一番面白い部分、「最高の箇所」である可能性が高い。
夢の検閲の第一の型(内容の脱漏):非常にあからさまに夢の内容の一部が欠落する。
第二の型(変容):本来のものの代わりに、これを弱めたり、おおよそのところにとどめたり、ほのめかしたりする。
第三の型(編成変え):アクセントの移動、内容諸要素の編成変え
・第二の型と第三の型をまとめて「移動」と呼ぶ。
第13段落:「というのは・・・」
・検閲という言葉は、力動的な関係を表現するための便利な述語にすぎない。
・自由連想において現れる抵抗は、夢の検閲が対象化されたものにすぎない。
・検閲の力は、消耗されるようなものではなく、持続的な制度として、その歪曲を保持し続ける意図を持って存在するもの
・同一の夢の中のそれぞれの要素ごとに抵抗の強さや歪曲の程度は異なる。
第14段落 「しかし、われわれが」
・テーマ:検閲を引き起こす意向とは何か?
・検閲する側の意向:夢を見た人の目覚めている時の判断によって承認される意向であり、これこそ自分の考えだと感じ取っているような意向
(*自分が、それは自分の一部であると認めるような意向。「自分にとって自分であるもの」)
・自由連想を用い正しく行われた夢解釈を拒否する動機と、夢の検閲を行い、夢の歪曲を生ぜしめ。そのためにこそ夢の解釈を必要とさせた動機は同じものである。つまり、夢の検閲を起こす意向と、その夢の解釈に抵抗する動機は同じものである。
第15、16段落 「しかしさしあたりは」
・「検閲が加えられる意向、検閲を受けて夢の中で歪んだ形で表現される願望」の性質:
・徹頭徹尾非難に値するもの
・倫理的、美的、社会的な見地から許しがたいもの
・人があえて考えようとはしないもの、あるいは嫌悪の念をもってでなければ考えられないもの
・放縦で粗暴な利己主義の現れ
・眠るために外界から自己の関心を引き上げることにより、自我はすべての倫理的な束縛(われわれの美的教育など)から解放され、性的欲望の一切の要求を受け入れる。
・快楽追及の努力(リビドー)は、その対象を好き勝手に選び取る。むしろ、禁じられた対象(人妻、近親相姦)を最も好んで選ぶ。
・憎悪もまた同様に、ほしいままに荒れ狂う。
第17段落
・しかし、このような邪悪さは夢の本質ではなく、正当な願望の充足と認められるような夢もある。
・夢の検閲は、①夢の検閲を受けるべき願望がよこしまなものであること②そのときの検閲の要求が厳しいこと によって大きくなる。
第18段落以降 「ところで、われわれは」
テーマ:これまでの結論に対する反論への反駁
・夢解釈によって得られた科学的知見はまだ完全ではないので、もう少し冷静になって、精神分析家に時間を与えてほしい。
・夢の解釈は、以下の3つの前提に基づいている。
- 夢にはそもそも何らかの意味がある(夢は心的現象である)
- 夢をみている時には無意識な心的過程(本人が自覚していないが知っていること)が存在するという考えを、催眠法による睡眠から正常な睡眠に敷衍してよい
- 全ての思い付きにはしかるべき根拠がある。
テーマ:夢を見た人が、指摘された意向を認めなかったところで、大した問題ではない。
・それこそがまさに夢を見た本人が気づかないでいる事柄なのだ。
・意識的な生活の中である意向が支配的であるからといって、それと反する無意識的な意向が存在しないということにはならない。
・心的生活の中には、対立する意向、もろもろの矛盾の共存を受け入れる余地があるのだろう。
テーマ:不快の感情を科学的な判断の動機として使うべきではない。
テーマ:人の心の善と悪
・人間の本性の中に、利己主義的な悪が関与していることは疑いようがない。
・また、夢の検閲の存在は、人間の中に悪なる願望を抑制する機構の存在を示している。
・精神分析の成果により、人間の本性の中にある善と悪の関係をもっと正しくとらえることができる。
第十講 夢の象徴的表現
第1.2段落:
・夢の歪曲を引き起こしているものは、検閲だけではない。
・この要素は、われわれの技法の欠陥(自由連想において、何も連想が出てこない場合があるということ)に目を向けることで発見される。
第3、4、5、6、7段落:
テーマ:分析者自身による夢の要素の翻訳
・「黙して語らぬ」夢に対しては、夢を見た本人に解釈を語らせるのではなく、分析者自身で解釈し、分析者自身の手段で翻訳(代理形成)をしてみようと思うようになる。
・この作業をあえてする決心をしない限り、夢は依然として意味がなく、関連性をもたないままに留まるが、全くよく似ている例を積み重ねていくと、やがては十分な確信をもってこれを行いうるようになり、夢の要素の一連のものに対しては、いつも一定の翻訳ができるようになる。
・しかし、自由連想の技法では、夢の同じ要素がいつも同じもので代理されるということは決してない。
・我々が経験を積みながら、この一定不変の代理物を十分に集めてみると、夢のこれらの部分は、実際、分析をする側の知識によって解釈していくべきものであって、夢を見た人の思い付きを借りなくても理解しうるものである、ということがいつか分かってくる。
・夢のある要素とその翻訳の間に存在するこういう恒常関係を、象徴関係と呼ぶ。
・夢の要素とそれの本来の思想の関係の4種類:全体に対する部分、仄めかし、形象化、象徴関係。
第8-11段落:
テーマ:象徴関係を用いることへの議論
・一般的な夢占いと似たことができる。
・夢の解釈者をいい気分にさせ、夢を見た人を感嘆させるが、そんなことに惑わされてはいけない。
・自由連想を補助する技法であり、あくまで二つ合わせて有用な結果が出てくる。
・象徴関係については精神分析家の中でも激しい抗議がある。
・しかし、象徴性は夢特有のものではないし、また精神分析によって発見されたものでもない。
*11段落の意味が分かりませんでした。
第12段落
・夢の中で象徴によって表現される事物の範囲:身体の全体、両親、子供、兄弟姉妹、出産、死、裸体、家屋。
男子 |
壁面が全く平らな家 |
女性 |
手をかけて身体を支えられるような張り出しの部分とかバルコニーがついている家 |
両親 |
皇帝と皇后、王と王妃、そのほか敬意を払われる人物 |
子供、兄弟姉妹 |
小動物や害虫 |
出産 母親と子供の関係 |
水(水の中に落ちる、水から這い上がる、人を水から救い上げる
|
死ぬこと |
旅立ち、汽車旅行 |
死んでいること |
暗い、畏怖を示唆するもの |
裸体 |
衣服や制服 |
男性性器 |
聖なる数としての3 ・形の上で似ているもの ステッキ、傘、棒、木 ・陰茎と同じで体の中に侵入して傷つけるという意味で共通点を持つもの メス、懐剣、槍、サーベル、尖った武器、銃 ・水を吹き出すもの 蛇口、じょうろ、噴水 ・伸び縮みするもの 吊りランプ、シャープペンシル、 ・道具 鉛筆、ペン軸、爪やすり、ハンマー、鍬 ・重力に反して直立できる 気球、飛行機、ツェッペリン飛行船、人間そのものの飛行 ・他のもの 爬虫類、魚類、蛇、岩、山、部屋を開ける鍵 帽子、オーバーコート、ネクタイ ・複雑なあらゆる種類の機械類 ・炎 |
女性性器 |
・腔洞があって中にものをいれることができるもの 凹み、溝、洞穴、管、瓶、瓶、箱、小箱、トランク、筒、荷箱、ポケット 船 ・子宮に関連するもの 戸棚、竈、部屋(窓や出入り口が大孔の意味を持つので、開いているか閉じているかが重要)、都市、城砦、居城、要塞 ・性器の入り口の象徴 玄関やドア、体の部位では口、建築物では聖堂や礼拝堂 ・木材、紙や、それらでできている机、本 ・かたつむりと貝類 ・岩や森や水などのある風景、庭 ・白い下着類やリンネル一般、靴、スリッパ ・蹄鉄 |
女性性器、処女性 |
花 |
愛人 |
宝石や宝物 |
性的愉悦 |
甘いもの |
自分の性器の充足感 |
あらゆる遊び、ピアノの演奏 |
自慰 |
滑走や滑空、枝を引き裂くこと |
去勢 |
歯の抜け落ちること、抜歯 |
乳房 |
りんご、桃、果物一般 |
情欲 |
野獣 |
陰毛 |
森や藪 |
両性の交わり |
ダンス、乗馬、山登りなどのリズムを伴った運動 はしご、坂、階段、 車に轢かれる 手仕事、武器をかざしての脅迫 |
男女の区別の無い性器 |
小さい子供(小さい息子や小さい娘) |
・これらの象徴の意味や、童話や神話などから知ることができる。
・象徴と仄めかしによる表現の間の限界ははっきりしない。
・象徴のうち、性別がはっきりしていないことは多い。
・象徴関係の具体例を多数収集することによって引き出せる3つの結論。
第一:夢を見る人は夢の象徴的な関係を自由に使用しているのに、目覚めている時にはその象徴的表現法を知らず、確認もしないという事実がある。
・象徴に関する知識は、夢を見る人には意識されていないものであり、夢を見る人の無意識的精神世界に属している。
第二:これらの象徴関係は、夢見る人や、あるいはこれらの象徴関係を表現する夢の作業などに特有なものではなく、神話や童話、俚諺や民謡の中にもみられる。
・これらの象徴表現は夢に限ったものではなく、昔はあったが今は無くなってしまった表現方法が、形を変えながら残っているものだと思われる。
第三:夢以外の領域における象徴関係は性的象徴関係だけではないのに、夢の中では象徴のほとんどすべてが性的な対象や関係を表現するのに利用されている。
・スペルバーという言語学者が、性的な欲求は言語の成立と発達に最大の役割を果たしていると主張しており、この影響があるのかもしれない。
第十一講 夢の作業
第33段落「そうかと言って」
テーマ:「まとめ」
・夢の作業:凝縮、移動、造形的表現、二次的加工がある。
・それ以上のことは夢の作業にはできない。批判、驚嘆、推論などは夢の作業の成果ではない。
第1-3段落
テーマ:今までの整理
・夢の歪曲を克服するためには、
- 夢を見た人に自由連想法を行い、代理物から本来のものへと迫る
- 様々の象徴に対しては、その本来の意味を分析者の知識に基づいて突き止める
の2種類の方法を用いる。
・顕在夢と潜在夢の関係は、
- 全体と部分の関係
- 近似または暗示(仄めかし)の関係
- 象徴関係
- 造形的な言語表現
の4種類がある。
・夢の作業:潜在夢を顕在夢に置き換える働き
・解釈作業:顕在夢から潜在夢に到達しようとする働き
・夢の歪曲:幼児型以外の夢の場合、夢の作業においてさらに付け加えられるもの。
以下、夢の作業が夢の潜在思想という材料から何を作り出すのかについての総括的な説明。
第5段落:
テーマ:夢の作業1「凝縮」
・顕在夢は潜在夢の内容よりも内容に乏しい。
・凝縮の種類
- 脱落:ある種の潜在要素が完全に脱落させられる
- 潜在夢の多くのコンプレックスのうちで顕在夢に移行するのはわずかで、その多くは移行しない
- 共通なものを核とする一時的概念形成:ある共通点を持ついくつかの潜在的要素が顕在夢となるときは融合して一つの混成物を作り上げる
以下、3番について
・言語的な表現(言語がくっつくこと)や機知も3番の一部
・複数の人物が重なることがある
・夢の作業では、二つの違った観念を区別しようとはせず、その二つの観念が落ち合うことができるような曖昧な言葉を探し出してきて、その言葉のうちにこれら二つの概念を凝縮しようとする。
*言語は「構造」。
・凝縮は夢の検閲によるものではない。
第12段落:「夢の作業の第二の操作は」
テーマ:夢の作業2「移動」
・夢の検閲によって起こる。
・移動の種類
- 潜在要素がそれ自体の構成要素ではなく、なにかそれとは縁の無いようなもの、仄めかしによって代理される。
- 心的なアクセントが、ある重要な要素から、あまり重要でない要素に移っていく結果、夢の中心部も別のところへ移行する
・覚醒時にも仄めかしによって代理するということが見られるが、それは内容的な関連を持っており、理解可能な分かりやすいものである。対して、夢の場合は、この条件は存在せず、内容的な関連を持っていない場合や、理解しにくいものであることがある。そのため、仄めかしから本来のものへさかのぼると、その解釈はへたな機知か、むりなこじつけという印象を与える。
第15段落:「夢の作業の第三の操作は」
テーマ:夢の作業3「思想を視覚像に翻訳する操作」
・夢の個々の要素に対して、「造形的な言語表現」(*ある要素を、それと似た音の別の単語で表現すること)がある。
・「なぜ、だから、しかし」等の論理関係を示す品詞を図解することはできないので、テキスト中のこれらの品詞はテキストが絵に翻訳される際に失われる。
・夢の作業は、夢の潜在思想の内容を、夢の形態上の特異性(例:夢の明瞭度、夢の数)などによって表現する。
・夢がばかげたものに見えるときは、夢思想が「その思想はばかげている」という判断を表現しようとするときである。
・一方、ある要素が夢に現れたかどうか、ほんとうにそれだったかなどが不確かな時は、それは夢の検閲の結果によって起こったものであって、夢の思想の内容を表現するものではない。
第19段落:「最も予想外の発見といえるのは」
テーマ:夢の作業3「思想を視覚像に翻訳する操作」の続き 「対立を取り扱う仕方」
・潜在材料中のいくつかの一致点は顕在夢の中では凝縮によって代理されるのと同様に、対立もまた一致と同じ扱いを受け、特に好んで同一の顕在要素を通じて表現される。そのため、対立物を持つことのできる顕在夢中の要素は、そのままでそれ自体を意味することもあり、対立物を意味することもあり、またその両者をともに意味することもある。
*ある対象の状態がプラスでもマイナスでも、その対象の状態に対して関心を向けているということに違いはないから?
・似た現象は言語の発達過程の中にも見受けられる。同じ単語や語源を同じくする単語で全く逆の意味を表すものが多く存在する。
・夢の作業に見られるこのような特徴は、太古的と呼んで差し支えない。
第29段落:「さて、なお他の二、三の観点についてふれておきましょう」
テーマ:「夢の退行」
・われわれの思想の最初の材料は、感覚的印象の記憶像である。これらの記憶像に、あとになってから言語が結び付けられ、ついでにその言語に思想が結合されている。
・夢の作業とは、この逆の流れを辿るものである。つまり、言語の形を取っている潜在思想を、再び感覚的な像(たいていは視覚的な像)に翻訳する。この退行過程では、記憶像が思想に発展するまでに新しく獲得したものは脱落せざるを得ない。
*「記憶像が思想に発展するまでに新しく獲得したもの」は言語的なものである。
第32段落:「そうかといって」
・夢の二次的加工:夢の作業の一時的な成果を組み合わせて、ある全体的なもの、ほぼ調和のとれたものを作り出す。
第十三講 夢の太古的性格と幼児性
第1、2段落:「みなさん、」
・夢の作業とは、夢の潜在思想を夢の検閲の影響を受けながら別の新しい表現方法に変えること。
・この表現方法は、太古的段階にまでさかのぼるので、この表現方法を、太古的、あるいは退行的表現方法と名付けた。
・太古的段階とは
- われわれがはるか昔に克服してしまった知的な進化の諸段階
- 比喩的言語の段階
- 象徴関係の段階
- われわれの思考言語が発達する以前にあったと思われる諸段階
太古の時代とは二つの時間を表している。
第一:個体の幼児期
第二:系統発生的太古時代
第3、4、5段落:
テーマ:「夢の太古的性格のもう一つを説明するため、幼児期の記憶喪失に目を向ける」
夢の太古的性格のもう一つ:幼児時代の忘れていた材料を自由に使用する。
・幼児期の記憶喪失には2つの注目すべき点がある。
- 人間の生後5、6歳あるいは8歳ごろまでの体験は、後年の体験と違って記憶に残っていない。
- 最初の幼児期全体の記憶が空白である中で、ばらばらないくつかの記憶がはっきりと保存されているが、いつまでも保存されている幼児期の記憶は必ずしも幼児期の重要な体験と対応するわけではなく、鮮明に記憶されているそれ相応の理由が見当たらない。
・実は、幼児期の記憶は、年月を経る間に凝縮、特に移動という過程を経て、記憶の中では重要とは見えない他のものによって代理されているだけであり、やはり重要なことだけが記憶に残っている。
・それゆえ、幼児期の記憶を隠蔽記憶と名付ける。
・精神分析による治療においては、幼児期の記憶の欠落を埋めることがごく普通の課題であり、忘却によって隠蔽されていた幼児時代の体験内容をふたたび明るみに出すことができる。
・幼児期の印象が夢に結びついて浮き上がってくることがあり、夢の営みが潜在的な幼児期への体験へ通じる道を知っていることが分かってきた。
第6、7、8段落:「ところでこの説明は、」
・夢の潜在思想がひどく性悪で放埓な願望で、夢の検閲を必要とするような夢をみた時、この種の夢 夢を、本人に説明してやると、「自分にはそのような願望とは無縁だと思うし、むしろ意識しているものはその反対のものなのに、どこからそのような願望が自分にやってくるのだろう」という質問が起こるが、質問の回答は「この性悪な願望のうごめきは、過去から来ている。」というものだ。
・過去に克服されたはずの願望が刺激となって夢を生じさせることがある。
・「なぜ過去に克服されたはずの願望が刺激となって夢を生じるのか」についてはここでは述べない。
第9-14段落:「だれかを亡きものにしたい」
テーマ:「幼児のエゴイズム」
・誰かを亡き者にしたいという願望の大部分は、夢を見る人の無際限のエゴイズムに原因がある。
・人生の最初の数年間の幼児の時代には、誰かが実生活の中で自分の邪魔になると、誰であろうと構わず夢の中で殺そうとするようなエゴイズムが、しばしば現れる。
・この時代は、ちょうど例の記憶喪失によっておおわれてしまう時代である。
・幼児の発達:「幼児は、エゴイズムを通じて愛することを学び知る」
・幼児は最初は他人ならぬ自分自身を愛する。
・はじめから幼児が愛するように見える人物でも、実は彼にとってその人物が必要だし、欠くことができないものだから愛するに過ぎない。
・のちになって初めて他の人間を愛し、他の人間のために自分の自我の幾分かを犠牲にすることを学び取る。のちになって初めて愛の感情はエゴイズムと無関係なものになる。
・幼児は、兄弟姉妹を親の愛情をめぐる競争者とみて憎む。
・両親と成人した子供との間には、多くの敵意が入り込んできていて、もしいたわりの気持ちと愛情による抑制がなかったら、そういう敵意があらわに出てきてしまう。この敵意は特に同性を互いに離反させる傾向を示す。
・娘は母親のことを、「自分の意志を抑えつけ、性的自由の断念という社会の欲求を自分に守らせようとする使命を持った権威」とみなす。
・息子は父親のことを、「いやいやながら我慢していなければならぬ社会的強制力の権化」とみなす。
・夢の中で両親、とくに同性の親を亡き者にしたいという願望が暴露されたとしても、これを不思議に思う必要は少しもない
第15、16段落:「私がいま問題にしているのは」
テーマ:エディプスコンプレックス
・「性的な特性がはっきりと強調されている愛情を巡る競争」
・男の子は幼い時代にすでに、自分のものと思い込んでいる母親に対して特殊な優しい情愛を示しはじめ、その独占を巡って自分と争う父親を競争相手と感じ始める。
・幼い女の子も母親の中に、父親に対する自分の優しい愛情を妨げ、自分だって立派にこなせると思っている地位を占有している競争相手を見出している。
・このような心的態度を「エディプスコンプレックス」と呼ぶ。
・同性の親を殺し、異性の親を手に入れようとする二つの極端な願望。
・エディプスコンプレックスは、非常に多くの批判にさらされている。
第17、18段落:「これまでの調査によって」
テーマ:幼児性欲
・幼児の性生活の発達:
・幼児ははじめから内容の豊かな性生活を持っている。
・私たちは、正常な性というものを想定するときに、「人間と動物の区別」「嫌悪感の限界」「近親相姦の禁制」「同性愛の禁制」「性器の役割」などの制限をおいているが、これらはあくまで発達と教育のなかで形成されるものであって、幼児はこのような制約を持っていない「多型倒錯型」である。
・例えば、近親相姦的な愛の選択こそが(制限のない幼児からすれば)最初のごくあたりまえの選択であって、これに対する抵抗はのちに形成される。
第19、20段落:
・幼児の心的生活は、エゴイズムや近親相姦的な愛の選択とともに無意識の中に存在し続けている。
・夢はわれわれをこの幼児期の段階に連れ戻すものである
・心的生活における無意識のものとは幼児的なものである。
・夢の邪悪な欲望の働きは、幼児性を示すにすぎないので、邪悪な夢を恥じる必要は理性的に考えてない。
・しかしながら、人間は邪悪な夢を恥じることがある。このことについてまだ考察の余地がある。
第21段落:
・第一の知見:夢の作業の退行は、われわれの思想を原始的な表現形式に翻訳するばかりではなく、われわれの原始的心的生活の諸特性をふたたび目覚めさせる。
・第二の知見:幼児型のものはすべて、今日では無意識的なものの中に数え入れなければならない
*前意識と無意識?
前意識:昼の名残:覚醒している間にも考えようと思えば考えることができたもの
無意識:幼児的領域から発してくるもの
第十四講 願望充足
第1-3段落:
テーマ:幼児型の夢の分析において「夢は願望の充足である」という見解が得られたが、これは幼児型ではない夢、歪曲を受けた夢についても妥当するのか?
・素人批評家によって、「夢の中に苦痛の感覚があるとは、夢は願望充足であるという立場からすればおかしな話ではないか」という疑問が提示されている。
第4―10段落:
テーマ:なぜ「苦痛な夢」が存在するのか?
第一:「夢自体は願望を充足させようとしたにも関わらず、その意図が十分に成功しなかったために、思想中の苦痛の感情の一部が顕在夢中に残されている」
第二:「夢が充足させた願望が、夢を見た本人にとって非難や拒絶するべき願望であるため、願望充足が快感をもたらさず、それとは反対のものをもたらす」
*多重人格的な心の在り様を示唆している?
・不安夢はむき出しの願望充足であり、「いまわしい願望」の充足である。
第三:「人間の心的活動の中には、(自らを?)懲罰したいという意向があるから」
第11段落は具体例
第12―17段落:「われわれは必ずしも」
テーマ:「夢は願望充足であるかどうか?」
・この点は夢の全理論の中でもっとも危険な点の一つであり、多くの反論や誤解もこの点に結びついている。
・夢は願望充足であるか、現実化された不安、また現実化された懲罰であるとフロイトは主張。
・反論:夢は多義的であってはいけないのか?
・なぜそうであってはいけないのか、フロイトには分からないが、今までの研究成果から考える限り、夢は願望充足である。
第23段落:
テーマ:昼の名残と無意識的願望の関係
・無意識的願望が、夢を作る心的エネルギーを提供する。
・昼の名残が、提供された心的エネルギーをどのように使うかを決定する。
無意識的願望が方針を定めることもあるし、昼の名残がエネルギーを持っていることもありうる。
第十五講 不確実な点と批判
1:顕在夢を潜在夢に正確に翻訳することは可能なのか?
批判1:夢の特定の要素については、そのままの意味にとればいいのか、象徴的な意味にとればいいのか決定する客観的根拠がない。
批判2:夢の作業では相反する要素が一致することがあるので、それをポジティブにとるのかネガティブにとるのか決定することができない。
批判3:夢の中ではさまざまな裏返しが起こるので、解釈の上でこれは裏返しであるかどうかが決定できない。
・以上の点は、解釈者の熟練、経験、理解力に任せられることになる。
2:夢解釈の中には、牽強付会に見えるものが相当数ある。
・夢は、夢の検閲の中の「移動」作用によって、われわれが仄めかしと呼んだ代理物を形成する。
・仄めかしは、そもそもとして、
・仄めかしであることが容易に分からない
・仄めかしから本来のものへの帰路がたやすくは見つからない
ようにできているものであり、仄めかしと夢の潜在的要素の間には、突拍子もない、きわめて特殊な、時としては滑稽で、時としては機知のように見える結びつきが可能である。
・潜在的要素と顕在的要素の結びつきの理由を言い当てるには、夢を見た本人の助力が必要である。
・夢を見た者の機知が、夢を解釈するものの機知として受け取られてしまう場合があるが、これは誤解である。
・夢は現在に対する適応の試みであるばかりではなく、将来の問題を解決しようとする試みであり、したがって「将来を予想する傾向」に従うものではないのか?(A・メーダー)
・この主張は、顕在夢と夢の潜在的思想の混同に基づくものであり、夢の作業を無視している。
4:分析的治療を見ている患者は、治療者の好みに合うように夢を見てしまうのでは?
・治療者の話や刺激が被分析者にとって十分に意義深いものになれば、「昼の名残」の圏内に含まれる。
・さほど重要視するべき問題ではない。
第16講 精神分析と精神医学
第1、2、3、4段落
テーマ:フロイトの姿勢
・神経症は錯誤行為と夢といろいろの共通点を持っている。
・今までの議論とは違い、聴講者の疑問や反論に一つ一つ答えていくことはしない。なぜならば、神経症という現象は、聴講者にとって未知のものであり、フロイトと同じように長年、同一の材料について研究を続け、その際に同一でしかも新しい驚くべき経験をみずから体得したものだけが、確信を持つという権利があるからである。
・フロイトの講義は思弁的体系というよりも、経験であり、観察の直接的な表現や、また観察に手を加えて出来上がった産物。
第5、6,7段落
テーマ:ある症状行為
・診察室のドアを閉め忘れるという「症状行為」には、医者に余計な尊敬をささげようとしたことの仕返しをしようという意味および意図を持っている。
・このように外に示された経過は、それを行う当人には意識されていない。
第8段落から―
テーマ:ある婦人患者の妄想
・婦人患者は、夫がある若い娘との間に恋愛関係に陥っているという「妄想」に苦しみ、嫉妬に苦しんでいる。この「妄想」は、現実にありえないようなばかげた妄想ではないが、論理的にも現実的にも十分な根拠がなく、嫉妬妄想と呼んでも良い。
・(この時代の)精神医学は、この妄想について説明するとき、遺伝的な要因以外には何も説明できないだろう。
・一方、精神分析を用いると以下のことがわかる。婦人は、彼女の婿にぞっこん惚れ込んでいたのだが、彼女は貞淑な妻としてこのような恋心をあってはならぬこととして意識にのぼらないようにしており、「移動の規制」によって、夫も同じように若い娘を愛していると考えるようになった。
・精神医学と精神分析は相補的で両立しあうもの。精神分析に対抗しているのは精神科の医者であって、精神医学そのものではない。
・精神分析は、いまだ妄想に対して治療効果を持たないが、精神分析が治療効果を持っている広範な神経症的精神障害のグループが存在する。
第17講 症状の意味
第1、2段落
・臨床精神医学は個々の症状の現象形式および内容にはあまり重きを置かないが、これに反して精神分析はまさにこの点に手がかりを求めて、まず症状には意味があり、患者の体験と関連している。
・神経症的症状の意味ははじめにブロイアーが発見した。神経症の諸症状には錯誤行為と同様に意味がある。
・強迫神経症とヒステリーの神経症の二つの形式は、精神分析が最初その研究の上にうちたてられたものであり、また精神分析が治療に大いに成果を上げている。
・中でも強迫神経症は、心的なものから身体的なものへ移行する飛躍がなく、ヒステリーよりも理解しやすい。
第3、4、5、6段落
テーマ:強迫神経症の定義
・強迫神経症とは、患者が本来自分には関心のない思想に心を奪われ、自分とはなんの縁もない衝動を自分の内に感じ、しかも、それを実行しても何の満足感もないのに、どうしてもせずにいられないような行為にかりたてられる、という形で現れる。
第7段落以降―
強迫症状の二つの実例
1つ目の例:
・古い観察例
・三十歳近い婦人。
・強迫症状の中身:自分の部屋から隣の部屋に駆け込んでいき、その部屋のまんなかにあるテーブルのそばの一定の場所に立ち、ベルを鳴らして女中を呼び、どうでもいいような用事をいいつけるか、何も言いつけないままで引き取らせてから、また元の部屋に駆け戻る
・背景的エピソード:十年以上も前に、彼女はずっと年上の夫と結婚したが、婚礼の夜に夫がインポテンツであることが分かり、ベッドのシーツに赤いシミを付けて女中に見せることができなかった。
・症状の意味:彼女は、結婚初夜の情景の中で、夫と自分を同一視し、女中にテーブルのシミを見せることで、夫がインポテンツではないことを女中に見せようとしている。
つまり、彼女はあの場面をただ単に反復しているだけでなく、その場面の先をさらに続けながらこれを修正し、正しい方向へ向けている。夢の場合のように、彼女の「夫をあの時の不運から逃れさせたい」という願望を、現在の行為の中で、すでに実現されたものとして表現している。
2つ目の例:
・患者は19歳になる娘。
・これというはっきりとした外的要因がないのに神経質になってしまった。
・症状行為:寝る前の就眠儀礼として、
・自分の部屋の大時計をとめ、他の時計をすべて部屋から出してしまう。
・植木鉢や花瓶は、書き物机の上にまとめておく。
・自分の部屋と両親の寝室との間のドアを半分開けておくことを要求する。
・ベッドの頭部のクッションがベッドの枠板にふれてはならず、枕は大きなクッションの上にひし形になるように置かねばならない。
・症状の意味:
・時計は女性器の象徴であるので、陰核勃起の不安を引き起こすため、排除された。
・植木鉢や花瓶は、最初の性交時における処女性と出血ということに関連したコンプレクス全体の拒否を意味していた。
・ベッドの枠板は男性、クッションは女性であり、男女が触れないようにしていた。
第18講 外傷への固着 無意識
第1、2、3、4段落
テーマ:前回の事例から導かれる結論の一つ目
・二人の患者はどちらも、あたかも自分たちの過去のある一定のところに縛り付けられて(固着)いて、どうしたらそこから自由になれるのかが分からず、そのために現在と未来から身を遠ざけているような態度を取っている。
・第一例の患者は、「現実にはもう放棄されている夫との結婚生活」が固着対象。
・第二例の患者は、「思春期以前にすでに生じていた父親への性的な執着」が固着対象。
第5、6段落:
・神経症者のこのような態度に、外傷性神経症がよく似ている。彼らは、夢の中でその外傷の起こった情景を反復している。
・この外傷的という表現は、「短期間のうちに心的生活の中の刺激が行動に増大するため、正常のありふれた仕方ではそれをうまく始末する、またはこなしきることができず、その結果としてエネルギーの活動に持続的な障害を与えざるをえないような体験」(=経済的?)を指す。
第9、10、11、12,13段落:
テーマ:前回の事例から導かれる結論の二つ目
・強迫行為を繰り返していた間は、この行為があの過去の体験に発するものであるということに患者は全く気付かないでいる。
・治療の後、「その強迫行為がどの過去の体験に発するものであるか」(=症状の由来)は本人が告白できるようになったが、「強迫行為の意図、つまり苦痛に満ちた過去をどのように修正したいのか」(=症状の目的)という点については何も知らなかった。
・つまり、症状の意味は、いついかなる場合でも患者に知られていない。また逆に、われわれがある症状に突き当たるごとに、この患者には特定の無意識な過程が存在しており、まさにその過程にこそこの症状の意味を内包している。さらに、症状が成立するためには、この意味が意識されていないことが必要であるし、この無意識的過程が意識されてしまえば(*これは単なる「知る」ことよりも狭い意味である)、症状は消滅する。
・このことから、強迫症状の原因となっている「衝動」は、意図できる範囲の外にあること、そういった心的な営みの他の領域から切り離された特殊な一領域があることが分かる。
第15段落:
テーマ:まとめ
・症状形成は、表面には出ないでいるある別のものの代理。
・ある種の心的過程は、正常な場合には意識がついにはその存在を知るに至るほどに広範囲に発展すべきだったが、何らかの意味で妨害されて(抑圧されて?)しまい、無意識の状態にとどまらざるを得なかった。そして、その無意識的な過程から何か交換のようなことが起こって症状が生じた。
・この交換を元に戻すことができれば、神経症の症状は治療できる。
第16段落以降:
・我々の今後の努力は、
・どのような経過で人間が病気になり、神経症という生活態度を取るようになるのかという臨床上の問題
・神経症の諸条件から症状はどのようにして発展してくるのかという心の力学
・神経症患者の健忘は、本来あるはずの関連を断ち切るという形で、症状の発生に重大な関係がある。
・症状の由来は、かつては意識的なものであったが、忘却のために無意識なものになる。
・症状の意味は、はじめから無意識的なもの。
第19講 抵抗と抑圧
第1-9段落
テーマ:一つ目の経験、抵抗
・精神分析の治療中、医師が患者を症状から解放しようとすると、患者は治療の全期間中抵抗し続ける。
・抵抗1:思いついたことは全て言うように言い渡すと、患者は何も思いつかないとか、どう言っていいか分からないなどと反論する。
・抵抗2:知的な反論、つまり精神分析に対して言われている批判と抗議を患者自身が持ち出してくる。
・抵抗3:感情転移 男性が医師に父親を見たり、女性が医師に父親を見たりする。
第10段落 ところで、患者の症状を
・抵抗を生み出す力は、かつて強い力でこの状況を作り出した力と同じもの。
・問題の心的過程が意識にまでのし上がって来ることは、必ず激しい抵抗が起こる。そうだからこそ、その過程は無意識的なものにとどまったのだ。
・抵抗によって我々に示される、病因的な心的過程を抑圧と呼ぶ。
第11―16段落
テーマ:無意識の構造
・あらゆる心的な動きは、はじめは無意識の部屋にあり、しかるのちに意識的な部屋に移行する。
・無意識の部屋から意識的な部屋の敷居のところには、一つ一つの心的な動きを検査し検閲する一人の番人がいて、自分の気に入らないものは意識的な部屋に入れない。
・番人は、心的な動きを敷居のところで追い返すこともあれば、一度意識の部屋に入ったあとで追い返すこともある。これは番人の用心の程度が異なるが、それだけの違いでしかない。
・抑圧とは、無意識の心的の動きが意識の部屋に入ろうとするも、番人によって追い返されること。
・しかし、意識的な部屋に入っただけでは、必ずしも意識的なものになったとは言えない。意識の目をうまく自分に向けさせることができた場合だけ、それは意識的なものになる。そのため、意識的な部屋は、前意識の部屋と呼ぶべきである。
・番人とは、夢の検閲を行っていたものと同一。
・昼の名残とは、前意識の中に残っていたもののこと。
第17-段落
テーマ:症状は、抑圧によって阻止されたものの代理物であるが、いかなる種類の心的欲求が抑圧に屈服してしまうのか。いかなる力によって抑圧は遂行されるのか。
・第二の経験:不安ヒステリー、転換ヒステリー、強迫神経症の患者の分析をすると、われわれは患者の性的な体験と願望にぶつかるし、彼らの症状が性的な願望に奉仕していることに気づく。つまり、これらの人々は現実が彼らにその性的願望の満足を許さない場合、何らかの仕方での欲求阻止のために病気になる。
・精神分析では反対は矛盾を意味するものではない。症状は性的な満足を意図するか、あるいは性的満足の防衛を意味しているかのいずれかである。
・性の代償的満足という概念が拡大されていると思われるかもしれないので、人間の性生活について考察を加えて、何が性的と呼ばれるにふさわしいかを考えていく。
フロイト「精神分析入門」読書会(第六・七講)
第七 夢の顕在内容と潜在思想
第1段落:これまでのまとめ
・錯誤行為を研究した経験から、以下の二つを得ることができた。
- 夢の要素についての見解
・夢の要素はそれ自体が本来的なものなのではなく、他のあるものの代理物である
・代理物とは、夢を見た人は自覚していないが、その人の心の中にはそれについての知識が存在しているはずのあるもの(*知っているということを知らないもの=無意識)の代理物
・この見解は、夢の要素だけでなく、夢全体にも当てはまるとフロイトは考えている
2.夢の解釈の技法
・夢の要素についての自由連想によって、別の代理物を浮かび上がらせ、その別の代理物に基づいて、隠れているもの(無意識的なもの)を推測できるようにすること。
・(第五段落より)覚えている夢は、本来のものではなく、本来のものが歪められた代理物である。この代理物は、われわれが他の代理物を呼び起こして、本来のもの(夢の無意識的なもの)を意識化することに必ず役立つ。
第二段落:無意識の定義
・無意識的:
今後「隠されている」「手が届かない」「夢を見る本人の意識にとっては到達不能である」という代わりに、無意識的という言葉を使う。
(*前意識的)
・度忘れした言葉や錯誤行為の妨害意向などは、「その時は無意識的だった」と表現する。
・意識的:
・夢の要素自体と、連想によって新しく獲得された代理表象は、意識的と呼ぶ。
第三段落
・夢とは、全体としては「無意識的なもの」の歪曲された代理物
・夢解釈の課題は、この無意識的なものを発見することにある。
第四段落
・夢解釈の仕事をするときに従うべき3つの重要な原則
- 一見して夢が持っているような意味は無視する。(それは無意識的なものではないから)
- われわれは夢の解釈の仕事を、それぞれの要素に対する代理表象を呼び起こすことだけにとどめ、その代理表象について熟考したり、何か適切なものをふくんではいないかなどと吟味したりせず、それらの表象がいかに夢の要素からかけ離れていても気にしない
- 隠れた、求められている無意識的なものが自分から姿を見せるまでは、じっと待つ
第5、6、7段落:抵抗
・覚えている夢の記憶が正確でなかったとすれば、それは代理物を歪曲しているということであり、これにはなんらかの動機があるはず。
・夢の解釈を自分の夢に行ってみると、この仕事に対して何か抵抗するものがあることに気付く。
・さまざまな思い付きは得られるが、それらを吟味したくなったり、選択したくなる。
・思い付きに対して、以下の4つの反論をしてしまう。
1.あまりにもとるに足りない些細なものだ。
2.あまりにもばかげている。
3.ここには関係がない。
4.人に話すにはあまりにも不快だ。
・つまり、出発点の表象である夢の要素に捉われすぎたり、してはならないはずの選択をしたりしてしまう。
・こういう反論は、夢の解釈を失敗させてしまう。そのため、自分の夢の解釈をするときは、そういう反論に抵抗しなければならないし、他人の夢の解釈をするときは、夢を見た人に対して、このような反論が心に浮かんでも、全ての思い付きを報告しなければならないという不可侵の原則を言い渡す必要がある。
第8、9段落:抵抗の意味
・夢の解釈の仕事は、それがぶつかる抵抗にさからって遂行されるもの。
・(抵抗によって)抑えつけなければならないと思う思いつきこそ、例外なく、最も重要で、無意識的なものを発見する上に決定的な意味をもつものである。
・抵抗は夢の解釈を困難にしてしまうが、一方でこの困難こそわれわれを刺激し、この仕事は労力を払うに値するものだと考えさせもする。
・夢の要素であるところの代理物から、無意識的なものへと押し進もうとするときは、決まって抵抗に出会う。
・抵抗は力動的な概念である。
・抵抗には「程度」が存在する量的な概念である。抵抗が大きいほど、無意識的なものの大きな歪曲を結果し、当然、代理物から無意識的なものへの道も遠くなる。抵抗がわずかであれば、代理物は無意識的なものからそう遠く離れていないことになる。
第10段落以降:実際の夢分析の例
・夢の顕在内容と夢の潜在思想の関係は、多種多様である。
・(a)と(b)の例では、顕在的要素は潜在思想のほんの一部分。無意識的な夢の思想の中にある、大きい心的な合成物の中から、その一小部分だけが顕在夢に入り込んだ。
・第一の型(a):
・第二の型(b):
・夢の作業は歪曲にあるが、歪曲の一つの仕方は、断片や仄めかしによる代理形成である。夢の解釈の仕事は、夢の断片や仄めかしから全体を完成させていかなければならない。
・(c),(d),(e),では、顕在内容が潜在内容の歪曲ではなく、むしろもとの語源から出発した、潜在内容の一表現、その造形的、具体的形象化
*第三の型が見当たらなかった・・・。どれ?
第八講 小児の夢
- 2、3、4段落:
・夢の歪曲作用という問題を精神分析の技法で克服するのを試みる前に、歪みのない夢というものがあるならば、それを取り上げるのが妥当かもしれない。
・小児の夢は、非常に歪みが少ない。この種の夢は、短く、明確で、首尾一貫し、わかりやすく、あいまいではなく、しかもまた疑う余地がない。
・夢の歪曲は5-8歳くらいからすでに始まるので、4-5歳までに年齢を限れば、幼児型とでも名付けられる夢をぞくぞくと見つけることができる。なお、成人の場合でもある条件の下では幼児型に似た夢が見られる。
・小児の夢は非常に容易に夢の本質を明らかにすることができる。そして、フロイトは、この解明がすべての夢に当てはまることを期待している。
・小児の夢を分析するには、特別の技法の適用や、小児を問いただすことは不要。しかし、小児の生活をすこしばかり参考にする必要がある。
*小児の夢が歪曲されている要素が少ないと言える理由は
第5段落以降:
・小児の夢は、筋の通った、心的行為と呼ばれて少しもおかしくないもの。
・小児の夢は夢の歪曲が(ほとんど)ない。そのため、夢の歪曲は夢の本質ではないことが分かる。
・眠りを妨げる刺激には、身体刺激のほかに心的な刺激がある。満たされなかった願望は、眠りを妨げる心的な刺激となりうる。
・夢は刺激から生じる。
・夢は願望の充足である。小児の夢は、残念な気持ち、憧れ、満たされなかった願望などをあとに残すような日中の体験に対する反応である。夢はこの願望を、直接にむきだしに充足する。夢は幻覚的な体験で、この願望を満たされたものとして表現する。なお、夢を引き起こすものはつねに願望でなければならず、憂慮や計画や非難ではありえない。
・小児の簡単な夢においても、願望を体験に置き換えるという歪曲がある。
・夢を錯誤行為との比較で説明する。夢においては、妨害される意向とは、眠ろうとする意向。妨害する意向とは、心的刺激、あるいはなにがなんでも充足を求める意向である。夢もまた妥協の産物であり、願望は満たされるが、眠りは続いている。
夢が願望の充足であるということを補強するいくつかの事実
・白昼夢も願望の充足という点を満たしている。また、夢に関するいくつかのことわざも同様。
*「動物が自分が殺されるという夢をみるということを・・・」の下り、人間にはのちに死の欲動を認めているが、動物にはこれはないのだろうか?
・食事などの欠乏条件におかれた人を観察すると、きまってその欲求を充足させる夢を見ることを教えられる。
・性的刺激を受けてみる夢の場合は特殊。夢精を伴う夢の中で現実に欲求の充足を得られることがある。
・「焦慮の夢」自分の期待がいち早く成就することをみる夢
・「不精な夢」もっと眠っていたいと思う人が、すでに起きて洗面をすませたり、あるいはもう学校に来ていたりすることを夢に見る。
最後の段落
・小児の夢以外の夢は、われわれの考えているように願望の充足であるかどうかは、さしあたっては断言できない。
フロイト「精神分析入門」読書会(第五・六講)
第五講 種々の難点と最初のアプローチ
最終目標(1、2段落):
・夢が意味を持つことを立証する。
・夢そのものが、全ての人に見られる神経学的な症状である。
夢分析を進めていく上で障害となるもの(3、4段落)
- 夢を研究することには価値がないとする一般的見解
・夢を研究することは非科学的であると見なされている
2.夢は曖昧で、精密な研究の掲げる要請に応えようとしない
・夢の研究ではその対象すら不確実
・夢に見たことを話す時でも、みたままを正確に話したという保証はありはしない
反論(5段落)
- 取るに足りないように見える中にも、大事な兆候がその姿をちらつかせていることがある
- 夢の記憶が曖昧だという難点を取り除くには、夢を見た人が語るがままのものを、その人が見た夢とみなし、本人がなにか忘れたり、変更を加えたりしているかもしれないという顧慮を捨ててしまえばよい。
夢に対する学会の軽蔑は、むかし夢を過大評価したことに対する反動である(6,7段落)
夢とは何か? すべての夢に当てはまる共通点(8―12段落)
・第一の共通点:夢を見るときにはわれわれが眠っている。
・夢は眠りと目覚めの中間状態
・眠りとは、外界について何も知ろうとは思わず、私の関心が外界から引き上げられてしまっている状態のこと。
・外界から身を引き、外界の刺激を遠ざけてしまうことによって眠りに入る。
・眠りの生物学的な性格は休養であり、心理学的な性格は現実世界への関心の中断
・眠りの目的が休養であれば、夢は眠りにとって歓迎されない付属物である。なぜならば、眠っているときに心的活動はあってはならないからだ。しかし、心的活動が睡眠中も引き続き残ることはどうしても免れがたい。その残存こそが夢である。
・夢は身体的な刺激を与えられたときに直接起こる心的現象に過ぎない
・夢とは、眠っている間に働きかけてくる刺激に対して心が反応する仕方である。
・眠りを妨げようとする刺激、夢によって反応するような刺激とはどういうものかを探し当てれば、あらゆる夢の第一の共通点を解明したことになるだろう。
・ほかの共通点は極めて探しづらい。以下のいずれも多様。(13、14段落)
・感覚:視覚、聴覚、など
・持続時間:長い、短い
・明瞭さ:あいまい、はっきり
・感情の関与する様子や安定性
・結論:夢と睡眠状態の関係から、夢は眠りを妨げる刺激に対する反応であると結論づけた
・モーリの実験から、夢は眠りをさましてしまう刺激を自分なりに解釈している、しかも毎回違ったように解釈していることが分かる。
・体内からくる刺激は、夢にとっては、外部の刺激と同じ役割をすることがある
・夢というものはたんに刺激を再現するばかりではなく、これを加工し、刺激をほのめかし、ある連関の中にはめこみ、その刺激を何ものかで代理する。
第六講 夢判断のいろいろな前提と技法
夢の研究の道
・第一:眠りを妨げる刺激からの道
・第二:白日夢からの道
・第三:催眠状態から暗示された夢からの道
○前章は第一と第二、この章は第三の道について主に述べられている
仮定1:夢の研究を進めるために、夢は身体的現象ではなく心的な現象であると仮定する。
・「夢は心的な現象」=夢は夢を見ている人の作品であり、自己表現である
*どういうこと?
・夢の分析方法
・夢を見た人に向かって、あなたの夢はどんな意味をもっているのかと聞けばよい。
・なぜならば、以下の仮定2が成立するからだ。
・仮定2:夢を見た人は、その夢が何を意味しているかを知っているが、ただ自分が夢の意味を知っているということを知らないのであり、そのために自分が知らないと信じているだけなのだ
・仮定2は、催眠現象の領域において同じことが観測されており、かつ催眠状態において成り立つ関係を自然の眠りについて転用することは決して大胆な冒険ではないことから、仮定1とは異なり、すでに証明ずみの仮定であるといえる。
・仮定3:夢を見た人に「どうしてそんな夢を見るようになったのか」と尋ね、彼がその場ですぐに言うことをその説明とみなす。
・夢は一語だけの言い違いと違って、たくさんの要素から成り立っている。そのため、夢を諸要素に分解してしまって、それぞれの要素について別々に検討を加えてみることにする。
・反論:夢を見た人がその場ですぐ思いつくことが、まさに求められている説明をもたらしてくれるとか、そこに至る糸口を与えてくれるとか考えるのは恣意的な仮定であって、むしろ思い付きは随意的なものであり、求められている説明とは無関係なものではないのか」
・フロイト曰く、この反論はひどい誤りである。なぜならば、心とは自由ではないからだ。
・なんらかの夢を見た人をうながして、夢のある要素について思いついたことを語らせるとき、その人の出発点となる表象をたえず念頭に置いたうえで自由な連想のおもむくままに(=熟考を排除して)語ってもらう。
・この自由な連想(思い付き)は、心の内部の、意味深い体制によっていつも厳密に決定されている。
・調べてみると、思いつきは、発端となる表象による束縛のほかに、強い感情を伴う思想や関心の領域、すなわちコンプレクスに左右されていることが分かる。そして、このコンプレクスがそこに同時に働いていることは、その瞬間には本人にはわからない。
・反論:「自由な思いつきが制約を受けていることを認めたとしても、夢の要素に対する思いつきが、夢を説明するとは限らない」
・夢の研究においては、自由連想の刺激語の役目を務めるものは、「夢を見る人それ自体の心的活動に由来するもの、夢を見る人には未知の源泉から発しているもの」である。
フロイト「精神分析入門」読書会(第四講)
第四講 錯誤行為(結び)
・結論:錯誤行為に意味がある。
・われわれは一つ一つの錯誤行為のすべてに意味があると主張する必要はない。
・錯誤行為は二つの意図の衝突によって生じる心的行為
・「錯誤行為には意味がある」=「錯誤行為は心的行為である」
・心的行為=その背後のどこかでなにか一連の器質的作用が始まっているような、ほかの心的過程から導き出されるものである
○器官の形の解剖的所見に認められるような性質。
・意味とは、意義、意図、意向および心的諸連関の系列中における位置
・症状行為(偶発行為)
・動機づけがない、目立たない、重要でない行為。
・これらの行為と衝突し、それゆえに妨げられるもう一つの意図が存在しない。
・
第一の問:妨害者として現れる意向はどういう性質のものであるか
第一群:言い違いをする直前に、自分でもそれに感づく例
第二群:語り手は妨害する意向が自分の意向であることを認めるが、言い違いをする直前にその意向が自分の心の中で活動していたことは全く知らない
第三群:言い違いをした当人に向かって、その言い違いの意向を聞かせると、本人がその解釈を激しく拒否する
これら三つの群に共通していること:
・妨害する意向が押し戻されていること
つまり、押さえつけられた以降は、語り手の意志に反して言葉となって口をついて出る
(と観察された)
・群の違いは、押し戻されたタイミングの違いとして考えることができる
・何かを言おうとする意図が現存するのに、それを押さえつけるということが、言い違いを起こす不可欠の条件である
第二の問:妨げる意向と妨げられる意向にはどういう関係があるか
・前者:妨げる意向と妨げられる意向が内容上の関連を持っている場合
・妨げる意向が妨げられる意向の反対、修正、あるいは補充を意味する。
・後者:妨げる意向と妨げられる意向が内容上の関連がない場合
・妨害する意向は実はそれよりちょっと前に、その本人を捉えていた思考過程から出てくるもの
*意味上の関連ではなく、時間的な関連
精神分析の視点とは
・現象をただ記述したり分類したりしようとしているのではない
・現象を心の中のいろいろな勢力の角逐(争い)のしるしとして捉えること、すなわち時には協力し、ときには対抗しながら、ある目的をめざして働いているもろもろの意向の表れとみたい
=心的現象の力動的な把握
・知覚されたさまざまの現象は、ただ仮定されているにすぎないところの意向にくらべると、影が薄くならざるをえません
フロイト「精神分析入門」読書会(第三講)
メンバーのべとりんです。3連投目。2016/4/29 22:00-23:00にSkypeで行われた読書会のレジュメです。今回は第三講を読みました。
週一で一講ずつ読んでいるのですが、フロイト精神分析入門は意外と読みやすいので、もう少しスピードアップしてもいいかもしれないな、と思いました。
以下、読書会のレジュメになります。
第三講 錯誤行為(つづき)
・導入(p44L1-P44L16)
・錯誤行為は、場合によってはそれ自体が独自の意味を持っている(=錯誤行為に意味がある)ことが広範にわたって確かめられるとすれば、錯誤行為の持つ意味のほうが、錯誤行為が起こる事情よりもはるかに興味深いものになる。
・「意味」とは?
- ある心的過程がその実現を期しているところの何らかの意図
- その心的過程が一連の心的な動きの中で占めている位置
*「意味」とは何か?という議論は重要。もう少し考えてみたい。
・引き続き、錯誤行為の中でも言い違いに絞って、錯誤行為が意味をもつかどうかを概観してみる。
・言い違いが意味を持つ観察例(P45L1-P46L12)
・第一の例:意図された言葉とは逆の言葉が口をついて出る例
・第二の例:言い違いが正反対にならなくても、その言い違いのために本来の意向とは対立する意味が表現される例
・第三の例:言い違いが、言おうと思っていた意味に第二の意味を付け加えてしまう例
・言い違いがそれ自体では意味を持っていない場合(P46L13-P49L9)
・このような実例も、その歪みを理解するのは難しくない
・固有名詞をゆがめる場合:軽蔑の気持ちを表現する周知の手段
・意味があまり明瞭ではない言い違いの場合でも、異なった二つの意図が衝突し、干渉しあうということで説明できる。
・結論(P49L10-P49L13)
・錯誤行為は決して偶然のものではなく、大真面目な心的行為であって、固有の意味を持ち、二つの異なった糸の共働、相互の衝突の結果として生じたもの。
・反論について(P49L14-P53L11)
・Q1:今のあなたの説明は、言い違いのすべての例に当てはまるのか(P50L16-
・「私は説明がつくと信じて疑いません」
・なぜならば、言い違いの実例を検討してみると、いつもそのように説明できるから
・証明は不可能。でもそれで構わない。なぜならば、言い違いの少数例だけでも、われわれのやり方が説明できれば、精神分析の入門にとって必要な結論は成り立つから
・Q2:同じ説明が、それ以外の多くの錯誤行為に当てはまるのか
・当てはまる。
・Q3:疲労や興奮などの要因は、錯誤行為にとって意味があるのか
・疲労や興奮などの身体的な諸条件は、言い違いに特有の心的機制が活動しやすいように、手助けしているに過ぎない
・音の影響、言葉の類似性、およびその言葉にともなって自然と生じてくる連想など、これらを無視することは何といっても不可能。だが、これらは言い違いがその上を歩いて行ける道を指し示すことによって、言い違いが起こりやすいようにしてくれている。だが、たとえ道(*類似した異なる言葉、など)があっても、その道を行くことを決心させるほかの動機が必要だし、私にその道を歩いて行かせる力が必要。
・Q4:錯誤行為の中で互いに競い合う二つの傾向のうち、隠れている意向を明らかにするにはどうすればいいのか。また、この隠れた意向をこれだと証明するにはどうすればいいのか
・隠れている意向=本来の意向を妨害する意向
・第一の系列(本人が自覚がある)場合、話す当人から直接に報告を聞くという方法で妨害する意向を突き止めることができる
・自己申告について(P54L12-
・「言った本人が言ったことなどあまり当てにはならないのでは?」
・「心の自由」などというものは存在しないぞ!
・「言い違いをした本人が、強硬に言い違いの意図を認めない場合があるが?」
・自分のやった錯誤行為には何の意味もあるはずがないと躍起になって主張するところに、この青年のある個人的に強い関心が表れている
・暫定的な妥協点:
・これだけ掘り下げただけでも、お互いの間に根本的な相違が出てきたでしょうか。
・錯誤行為の意味は被分析者がそれは承認した場合に限っては、それはそれで文句のないものとして承認していただきたい。
・被分析者が報告を拒否するとか、何も言うことがないというときには、我々が推測した意味を直接に証明することができないとする。
・被分析者の述べるところだけで錯誤行為の意味が明らかにされない時には、間接証拠をどこに求めるべきか?(P59L15-P65L19)
・錯誤行為以外の現象からの類推。
・まとめ
・こういった錯誤行為の例は、いくらでも集めることができる。
・これらの例はすべて、同じ結論に到達している。
・錯誤行為には意味があり、この意味は付随する事情からこれを察知したり、確証したりすることができる
・特別な二種類の錯誤行為
・重なり合い組み合わされた錯誤行為
・われわれの解釈が、あとから起こってくる事件によって確かめられるもの。